「そこ、そこ!」
肩甲骨の内側を押してもらったとき、思わずそんな声が出ることありませんか?
そこをグーッと押してもらうと、なんとも気持ちいい。
「あ〜、そこです!」
という感じ。
でも、次の日になるとまた重い。
仕事をしていると、いつの間にか自分で肩甲骨の内側を押している。
ストレッチポールやマッサージボールを使うと少し楽になるけれど、しばらくするとまた元通り。
これ、いったいなんなんでしょう?
毎日ちゃんと揉んでいるのに。
なぜ?
ということで今回は、
「肩甲骨の内側が痛い」
についてです。
肩甲骨の内側、こんな感じで痛くないですか?
さて、肩甲骨の内側が痛いといっても、皆さんまったく同じではありません。
よくあるのは、
- パソコンをしていると夕方になるほど重くなる
- 首を動かすと肩甲骨の内側まで引っ張られる
- 背中の一点を誰かにグーッと押してほしい
- マッサージをしてもらうと楽だけど、翌日には戻っている
- 車を長時間運転すると痛くなる
- スマホを長く見ているとつらい
- 深呼吸すると背中が広がりにくい
- 「姿勢を良くしよう」と胸を張ると、逆に背中が疲れる
- 首こりと肩甲骨の痛みがいつもセット
こんな感じです。
で、皆さんだいたいこう思っています。
「この肩甲骨のところが凝ってるんやろなぁ」
と。
もちろん、それも間違いではありません。
でもですね。
オステオパシーで身体をみていると、「本当に肩甲骨だけかな?」と思うことが結構あるんです。
まずは肩甲骨の内側が痛くなる一般的な理由から
いきなりオステオパシーの話をする前に、まず一般的なところからいきましょう。
首から背中の筋肉が頑張りすぎている
肩甲骨の周りには、僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋など、首や背骨と肩甲骨をつないでいる筋肉があります。
パソコンを長時間使ったり、スマホをずーっと見ていたりすると、どうしても頭が身体より前に出やすくなります。
頭って結構重たいですからね。
その重たい頭を支えるために、首から肩甲骨周辺の筋肉がずっと頑張る。
すると夕方になる頃には、
「ズーン」
「重い……」
「誰かここ押して〜」
となってくるわけです。
肩甲骨そのものがあまり動いていない
肩甲骨は、背中にベタッと固定されている骨ではありません。
腕を上げたり、前に伸ばしたり、後ろへ引いたり。
腕の動きに合わせて、肩甲骨も肋骨の上を動いています。
ところがパソコン仕事をしていると、朝から夕方まで、腕はほぼ身体の前。
肩甲骨も大きく動く機会がありません。
動かない。
でも筋肉は頭や腕を支えるために働いている。
そりゃ、しんどくなります。
実は「首」が関係していることもあります
ここからちょっと面白くなってきます。
肩甲骨の内側が痛い。
だから肩甲骨を揉む。
普通はそう考えますよね。
でも、肩甲骨の痛みなのに、首をみる。
これ、オステオパシーではそんなに変な話ではありません。
たとえば、首を右に向いてみてください。
次に左。
どうですか?
右を向いたときと左を向いたときで、肩甲骨周辺の引っ張られ方が違いませんか?
「右を向いたときだけ左の肩甲骨まで突っ張る」なんて人もいます。
首と肩甲骨は筋肉や筋膜などを通してつながっています。
なので、肩甲骨の内側を一生懸命揉んでいるのに、首の動きが悪いまま。
これでは、しばらくするとまた肩甲骨周辺に負担が集まってくることがあります。
だから私は肩甲骨が痛い方でも、
「首はどっち向きにくいですか?」
「上向いたらどうですか?」
なんてことを確認します。
さらに見てほしいのが「肋骨」
肩甲骨を触ってみてください。
その下に何があります?
肋骨ですよね。
当たり前なんですが、これが意外と大事なんです。
肩甲骨は、肋骨の上を滑るように動いています。
ということは、肋骨が動きにくくなれば、その上にある肩甲骨だって動きにくくなります。
ここで、
「肋骨なんて動くんですか?」
と思った方。
動きます。
毎日、何万回も。
何をしているとき?
そう、呼吸です。
肩甲骨の痛みと「呼吸」って関係あるの?
ここで一回、息を吸ってみてください。
スーッと。
そのとき胸だけではなく、背中側にも空気を入れるような感じで吸ってみてください。
どうでしょう?
右の背中と左の背中。
同じように広がっていますか?
「右は広がるけど左があまり動かない」
「胸ばっかり膨らむ」
「肩が上がってしまう」
そんな人もいると思います。
呼吸をすると肋骨が動きます。
その肋骨の上に肩甲骨があります。
ということは、呼吸のたびに、肩甲骨の土台も動いている、ということです。
だから肩甲骨周辺がいつもガチガチになっている方をみるとき、私は肩甲骨だけでなく、
「この人、どんな呼吸してるかな?」
というところもみています。
もちろん、
「呼吸が浅いから肩甲骨が痛い!」
なんて単純な話ではありません。
身体はそんなに単純ではないですからね。
でも、肩甲骨をいくら揉んでも戻ってしまうのであれば、ちょっと違うところにも目を向けてみる価値はあると思います。
でも、ここで一つ疑問が出てきます
同じ会社で、同じように8時間パソコンを使っている。
なのに、肩甲骨が痛くなる人と、まったく平気な人がいます。
もっと言うと、同じ人でも、調子のいい日は大丈夫なのに、疲れている日は夕方になると肩甲骨の内側がズーンと痛くなる。
なんででしょう?
「姿勢が悪いから」
だけでは説明しきれません。
「肩甲骨が硬いから」
だけでも足りない。
ここが、オステオパシーで身体をみるときの面白いところなんです。
オステオパシーでは肩甲骨だけをみません
オステオパシーには、「身体は一つのユニットとして機能している」という考え方があります。
つまり、肩甲骨が痛い。
はい、肩甲骨を揉みましょう。
終了。
とは考えません。
たとえば、
首
↓
肩甲骨
↓
胸椎
↓
肋骨
↓
胸郭
↓
呼吸
こうやって身体はつながっています。
もちろん、
「首が悪くなって肩甲骨が悪くなって、その次に肋骨が……」
という順番の話ではありません。
そうではなくて、身体の一部分だけを切り離して考えないということです。
肩甲骨が動きにくくなっているのなら、
「なぜ動きにくいんだろう?」
首かな?
胸椎かな?
肋骨かな?
普段の身体の使い方かな?
という具合に、いろいろと見ていくわけです。
「姿勢を良くしなきゃ」と頑張りすぎていませんか?
これもよくあります。
「姿勢が悪いから肩甲骨が痛いんですよ」
と言われた。
それで、胸を張る。
肩甲骨を寄せる。
顎を引く。
お腹に力を入れる。
よし!良い姿勢!
って……しんどくないですか?
10分くらいならいいです。
でも30分。
1時間。
ずーっとその姿勢。
そりゃ疲れます。
私は、良い姿勢=きれいな形で止まっていること、ではないと思っています。
右へ動ける。
左へ動ける。
前にも後ろにも動ける。
そして呼吸に合わせて肋骨も動く。
必要に応じて姿勢を変えられる。
つまり、「正しい姿勢」より「動ける身体」。
こっちの方が大事なんじゃないかなと思います。
「先生、ここなんです」と言われるんですが……
実際の施術でも、
「先生、ここ!」
と肩甲骨の内側を指で示される方がいます。
毎日ストレッチして、マッサージボールも使って、ご家族にも押してもらっている。
でも戻る。
で、身体をみてみる。
すると、首が片方だけ向きにくかったり、身体をひねる動きに左右差があったり、呼吸をしたとき片側の肋骨が動きにくかったり。
肩甲骨以外のところにも、
「あれ?」
という場所が見つかることがあります。
そんな場合、私は痛い肩甲骨だけを施術することはしません。
首。
胸椎。
肋骨。
肩甲帯。
そして必要なら、それ以外の場所もみます。
なぜか?
原因を最初から肩甲骨だと決めつけたくないからです。
どこが動きにくくなっているのか。
そのせいで、どこが余計に頑張っているのか。
身体全体をみながら探していきます。
これが、私がオステオパシーで身体をみるときに大切にしていることです。
ちょっと自分の身体をチェックしてみましょう
次の中で当てはまるもの、ありますか?
- 首を振り向くと肩甲骨の内側まで張る
- デスクワークの夕方になるほど痛くなる
- 肩甲骨を揉むと一時的には楽になる
- 深呼吸すると背中が広がりにくい
- 身体をひねりにくい
- 胸を張っていると背中が疲れてくる
- 首こりと肩甲骨の痛みがセット
- 疲れている日に特につらい
もちろん、
「3つ当てはまったから○○です!」
なんて話ではありません。
身体はそんな簡単に悪いところはわかりません。
ただ、いくつか思い当たるなら、肩甲骨だけじゃなく、首や胸郭、呼吸なんかも一緒に見てみてもいいかも、というヒントにはなります。
今日からやってほしいことは3つだけ
セルフケアを10個も20個も書いても、たぶんやりません(笑)。
なので3つだけ。
1.「良い姿勢」より、動く
30分〜1時間くらい同じ姿勢が続いたら、一度立つ。
肩を回す。
身体を軽くひねる。
ちょっと歩く。
それくらいでOKです。
「正しい姿勢を維持する」より「同じ姿勢を続けない」。
まずはこっちを意識してみてください。
2.背中に呼吸を入れてみる
肩の力を抜いて、鼻からゆっくり息を吸います。
そのとき、背中側の肋骨も少し広がるようなイメージで。
そしてゆっくり吐く。
3〜5回くらいで十分です。
無理に大きく吸わなくても大丈夫。
頑張って深呼吸しない。
気持ちいい範囲でやってみてください。
3.痛いところをグリグリしすぎない
痛い場所って、つい強く押したくなります。
気持ちいい程度ならいいんですが、
「痛いけど効いてる!」
と思ってグリグリやり続けるのはおすすめしません。
やった後に余計痛くなるなら、一旦やめましょう。
身体からの、
「もうそれ以上いらんで」
というサインかもしれません。
ただ、なんでも「肩こり」で片づけないでください
ここは大事です。
肩甲骨周辺の痛みには筋肉や関節などが関係していることが多いのですが、全部が全部、
「凝ってるだけ」
とは限りません。
首の病気などで肩甲骨周辺に症状が出ることもありますし、背中の痛みの中には医療機関で確認した方がいいものもあります。
ですので、
- 突然、今まで経験したことのない強い痛みが出た
- 胸の痛みや強い息苦しさがある
- 発熱や悪寒がある
- 転倒や事故のあとから強く痛む
- 腕や手のしびれ、力が入りにくい状態が進んでいる
- どんどん痛みが強くなっている
- 夜も強く痛んで眠れない
- 原因がわからない体重減少など、ほかの体調変化もある
こんな場合は、
「肩甲骨が凝ってるんかな?」
で済ませず、まず医療機関で診てもらってください。
病院では大きな異常なし。でも、ずっと痛い
一方で、検査では大きな異常はなかった。
でも肩甲骨の内側はずっと重い。
揉んでも戻る。
首もつらい。
仕事をするとまた痛くなる。
そんな方もいます。
そんなとき、
「じゃあ、もっと強く揉もう!」
ではなく、少し違う視点から身体をみてみてもいいと思います。
肩甲骨。
首。
胸椎。
肋骨。
呼吸。
姿勢。
一つずつ見ると別々です。
でも、身体の中では全部つながっています。
最後に
また夕方、肩甲骨の内側をグーッと押したくなったら。
ちょっとだけ思い出してください。
「ほんまに、ここだけかな?」
と。
一度、首を左右に動かしてみる。
身体をひねってみる。
そして肩の力を抜いて、ゆっくり呼吸してみる。
右の背中と左の背中。
同じように動いていますか?
痛みを感じている場所と、そこに負担を集めている身体の状態は、必ずしも同じとは限りません。
身体は、思っている以上につながっています。
だから私は、肩甲骨が痛いからといって、肩甲骨だけをみることはしません。
身体全体をみながら、「なんで、ここばっかり頑張ってるんやろ?」
を探していきます。
それが、オステオパシーで身体をみる面白さでもあります。
神戸元町で肩甲骨・背中の痛みにお悩みの方へ
神戸元町整骨院KUでは、肩甲骨の内側が痛む場合でも、痛いところだけをみるのではなく、首、胸椎、肋骨、肩甲帯、姿勢、呼吸など、身体全体の状態を確認します。
「何度揉んでも、また同じところがつらくなる」
「首こりと肩甲骨の痛みがいつもセット」
「病院では大きな異常はないと言われたけど、背中の違和感が続いている」
そんな場合は、一度ご相談ください。
「痛い場所」だけではなく、「なぜそこに負担が集まっているのか」。
オステオパシーの考え方をもとに、身体全体を丁寧にみていきます。
※強い痛み、進行するしびれや筋力低下、発熱、胸痛、呼吸困難などを伴う場合は、施術よりも医療機関での診察を優先してください。
参考情報
公益社団法人 日本整形外科学会「肩こり」
MSDマニュアル プロフェッショナル版「頸部痛および背部痛の概要」


