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病院で「異常なし」と言われためまい。その“異常なし”を、そのまま信じていいのか問題

病院で「異常なし」と言われためまいは、大きな異常が画像に映っていないという意味であって、体の機能まで全部正常という意味ではないことがあります。

とくに、首、前庭系、自律神経、呼吸、姿勢制御の連携が乱れると、ふわふわしためまいとして出てくる可能性があります。

目次

「異常なし」と言われるめまいの正体

まあ、しかしなんですね。

春だの秋だの言いながら、結局からだは年中なにかしらの負荷を受けてるわけです。

気温差、寝不足、ストレス、スマホ、首こり。

そりゃ、めまいのひとつも出ます。

さて今日は、病院で「異常なし」と言われためまい、について。

これ、めまいで悩んでいる人にとって、なかなかパンチのある言葉です。

「異常なしです」。

いやいや先生、こっちは今まさにフワフワしてるんですが?

という話であります。

ここで大事なのは、この「異常なし」は、たいていの場合

腫瘍はなさそう

出血もなさそう

大きな脳梗塞もなさそう

という意味であって、あなたの不調は存在しませんという意味ではない、ということです。

MRIやCTは、構造的な異常を見るのは得意です。

でも、首から脳へ入る感覚のズレとか、呼吸の浅さとか、自律神経の乱れとか、そういう映らない不調までは、そのまんま写してくれません。

つまり何が言いたいかというと。

「異常なし」=「問題なし」ではない。

ここ、かなり大事です。

たとえば、首の深いところにあるセンサーが、頭の位置や傾きの情報をうまく送れなくなる。

すると、その情報を受け取る前庭系との間でズレが起こる。

で、からだがこう言うわけです。

「え、今まっすぐ? 傾いてる? どっち?」と。

その結果、

ふわふわする

地に足がつかない

なんか落ち着かない

という、あのイヤ〜な感じが出るわけなんです。

👉つまりどういうことか?

検査で大きな病気が見つからなくても、からだのセンサー同士の連携ミスで、めまいは起こりうる、ということです。

めまいの分類

めまい、と、ひとまとめにされがちですが、

中身はけっこう違います。

1. 回転性めまい

ぐるぐる回るやつです。

自分が回っているのか、天井が回っているのか、もはや人生が回っているのか分からなくなる、あのタイプ。

これは耳の前庭器官の問題が関わることが多く、BPPVなどでよく見られます。

2. 浮動性めまい

ふわふわする。

地に足がつかない。

船に乗ってるみたい。

雲の上を歩いてるみたい。

でも全然ロマンチックではない。

これがいわゆる、浮動性めまいです。

このタイプは、耳だけでなく、

首からの感覚入力の乱れ

姿勢制御の乱れ

自律神経の不安定さ

呼吸の浅さ

そういったものが重なって出てくることがあります。

3. 不安型めまい

回ってはいない。

でも怖い。

倒れそう。

また来るかも。

外に出るのが不安。

電車が怖い。

人混みがしんどい。

このタイプは、前庭系と情動、自律神経がくっついて悪循環になっていることが少なくありません。

👉つまりどういうことか?

“めまい”は一枚岩ではありません。

ぐるぐる系、ふわふわ系、不安増幅系では、背景が違うのです。

自律神経性めまいとは何か

「めまいは自律神経ですね」

よく聞く言葉です。

便利です。便利なんですが、ちょっと雑でもあります。

なぜなら実際には、自律神経だけ単独で暴れているというより、

  • 前庭系
  • 首の感覚入力
  • 呼吸
  • 血圧や循環の調整
  • ストレス反応

こういうものが絡み合った結果として、

自律神経の出力が乱れていると考えたほうが自然だからです。

特に大事なのが、C0-C2の上位頸椎です。

このあたりには、頭の位置や傾きを感じ取るためのセンサーがたくさんあります。

しかも、後頭下筋群のような細かい筋肉たちが、常に微調整をしています。

ところが。

デスクワーク

スマホ

食いしばり

緊張

不安

寝不足

こういうものが重なると、このあたりがカチッと固まる。

するとセンサー情報が雑になる。

雑になった情報が前庭核に届く。

前庭核と小脳と脳幹のそれぞれが「ん?」となる。

そのズレが、自律神経の出力にも影響する。

で、結果。

  • ふわふわする
  • 動悸っぽい
  • 息が浅い
  • 気持ち悪い
  • なんか怖い

となるわけです。

因果構造で言うと

頸部固有受容器 → 前庭核 → 小脳 → 脳幹 → 自律神経出力 → めまい・ふらつき

です。

👉つまりどういうことか?

首と前庭の情報処理がズレると、

平衡感覚だけでなく、不安感や動悸っぽさまでまとめて出ることがある、ということです。

なぜ画像検査では映らないのか

ここ、読者さんがいちばんモヤモヤするところかもしれません。

「こんなにつらいのに、なんで検査で何も出ないの?」

ですよね。

でも考えてみると、MRIに写るのは主に形です。

骨のズレそのものでもなく、

筋肉のこわばりそのものでもなく、

呼吸の浅さでもなく、

自律神経のゆらぎでもない。

ましてや、

首のセンサーが今日はちょっと混線してます

なんて、そう簡単に画像で出るわけではありません。

なので「異常なし」は、

重たい構造病変は見当たらない

という意味ではあっても、

この人の機能は完璧です

という意味にはならないのです。

👉つまりどういうことか?

“映らない不調”は、普通にあります。

だからこそ、症状の出方、首、姿勢、呼吸、疲労のたまり方まで見ないと、本体が見えにくいのです。


エビデンス:オステオパシーとめまいに関する論文

こういう話になると、

「それって先生の感想ですよね?」問題が出てきます。

なので論文も見ておきましょう。

ただし、ここは正直に言います。

一応ある。けれど、まだ多くはない。

これが現状です。

1. システマティックレビュー

OMTとめまい・バランス障害を扱ったシステマティックレビューでは、5研究・114名が検討され、弱いながらも前向きな効果が示されています。

要するに、「全然ダメ」と切り捨てるほどではない。

でも、「めちゃくちゃ効く」と言い切るにはまだ早い。

そんな位置です。

  • 研究デザイン:システマティックレビュー
  • 対象人数:114名
  • 介入内容:OMT単独または他介入との併用
  • 結果:全体としてポジティブ傾向
  • ただし:元研究が小規模

👉つまりどういうことか?

オステオパシーには可能性がある。

でも、研究としてはまだ“伸びしろしかない”段階です。

2. RCT

23名を対象にしたRCTでは、

OMT(オステオパシー・マニピュレーション・トリートメント)群

前庭リハ群

OMT+前庭リハ群

対照群

で比較されています。

結果として、OMT+前庭リハ群で3か月後の改善が有意。

OMT単独でも一部改善が見られました。

このへんを見ると、オステオパシーは単独の魔法というより、感覚統合を助ける補助輪として働く可能性があります。

👉つまりどういうことか?

前庭系のリハビリ(運動療法)と組み合わせることで、より現実的に力を発揮する可能性がある、ということです。

3. BPPV患者を対象にしたRCT

BPPVの患者31名をOMT群とシャム群に分けた研究では、4週間後にDHIや重心動揺の改善が見られています。

これもまた、

「耳の問題なんだから耳だけ見ればいいでしょ」

では片づかない、という話です。

からだ全体の感覚統合やバランス制御に手を入れることが、補助的に役立つ可能性があります。

👉つまりどういうことか?

耳由来のめまいでも、からだ全体の処理能力を底上げする視点は無視できない、ということです。


論文の限界

ここ、勢いだけで書くと危ないところです。

研究はあります。

でも、まだ少ない。

サンプル数は小さい。

評価項目も限定的。

HRVの評価もほぼない。

長期効果もはっきりしない。

なので、「オステオパシーでめまいは治る!」

みたいなことを、景気よく言い切るのは違います。

そうではなく、一定の可能性はある。

でも、まだ研究は育ち途中。

この距離感が、いちばん誠実だと思っています。

👉つまりどういうことか?

研究はある。

ただしまだ、ドヤ顔で最終結論を言う段階ではないです。


神戸元町整骨院KUの臨床的考察

さてここからは、論文そのものというより、

既存の知見を踏まえた臨床的な当院の見立てです。

C0-C2の固有受容器と後頭下筋群

上位頸椎と後頭下筋群は、頭の位置を細かく感じ取るエリアです。

ここが固い、左右差が強い、動きが悪い。

そうなると、前庭(脳)からの情報と噛み合いにくくなります。

すると、

頸部機能低下→ 固有受容器の誤情報→ 前庭核で統合ずれ→ 姿勢制御の乱れ→ 浮動感・ふらつき

こういう流れが見えてきます。

👉つまりどういうことか?

首がこってる、で終わりじゃない。

首そのものが“脳へのセンサー機器”としてバグっている可能性があるのです。


側頭骨の可動性

オステオパシーでは側頭骨もかなり重要視します。

なにせ内耳が入っていますから。

ただしここは、

理論上は大事。

臨床でも気になる。

でも、そこだけを強く証明する論文はまだ十分ではない

この温度感です。

👉つまりどういうことか?

側頭骨、怪しい。かなり怪しい。

でも現時点では、

「犯人はお前だ!」と断定するには証拠がまだ足りない、ということです。


硬膜張力と仙骨機能

頭蓋から仙骨までの連動。

ここはオステオパシーのど真ん中です。

もちろん、RCTでピシッと全部証明された話ではありません。

ですが、姿勢制御や感覚統合を考えると、骨盤・体幹・頭頸部が別々に働いているわけではない、というのはむしろ自然です。

仙骨機能低下→ 姿勢適応の乱れ→ 体幹安定性低下→ 頭頸部の代償増大→ 感覚統合の負荷→ めまい悪化の可能性

こんなふうに見ると、

ふらつきを“頭だけの事件”にしなくて済みます。

👉つまりどういうことか?

めまいは、

脳だけ、耳だけ、首だけで起きているとは限らない。

重力の中で全身がどう踏ん張れているかまで見たほうが、しっくりくることがあります。


横隔膜の緊張・迷走神経出力・HRV

これも外せません。

「めまいがある日は、息が浅い」

これ、かなり多いです。

???

なぜかって?

息が浅いと、横隔膜がしっかり動かない。

横隔膜が動かないと、胸郭も硬い。

胸郭が硬いと、体はずっと緊張モード。

緊張モードが続くと、自律神経は乱れやすい。

すると、

呼吸浅い→ 横隔膜制限→ HRV低下の可能性→ 自律神経不安定→ めまい・不安感の増幅

こうなりやすいわけです。

👉つまりどういうことか?

息が浅い人は、からだがずっと

「なんかあったら困る」モードに入りやすい。

だから、めまいと不安がセットになりやすいのです。


姿勢制御と重力適応

私がこの手のめまいを見ていて思うのは、「異常なしめまい」の正体は、

重力の中で自分のからだを安定させるシステムのゆらぎとして見ると、とても整理しやすいということです。

前庭だけではない。

首だけでもない。

自律神経だけでもない。

視覚

前庭

頸部

呼吸

体幹

骨盤

自律神経

これらが、みんなでなんとか今日のあなたを成立させている。

その連携が崩れたときに、ふわふわする。

そう考えると、「耳か自律神経か」の二択では、ちょっと雑なのです。

👉つまりどういうことか?

めまいは、全身のバランスシステムの総崩れ未満、でも総ゆらぎ中、みたいな状態として見ると、かなり腑に落ちます。


該当する人チェックリスト

こんな方は、一度この見方をしてみる価値があります。

  • 病院で異常なしと言われた
  • ぐるぐるではなく、ふわふわする
  • 地に足がつかない感じがある
  • 首こりとめまいがセットで出る
  • 息が浅い感じがする
  • 疲れると悪化する
  • 寝不足で揺れる
  • 気圧で調子が落ちる
  • ストレスが強い日に悪化しやすい
  • 「自律神経ですね」と言われたが、なんか説明が雑だった

ひとつでも「あ、それ私だ」と思ったなら、

そのめまいは、単なる気のせいではなく、

機能のゆらぎとして捉えたほうがいいかもしれません。


まとめ

病院で「異常なし」と言われためまいは、構造的な大きな異常は見当たらないという意味であって、からだの機能に乱れがないという意味ではありません。

現時点の研究では、オステオパシーはめまいやバランス障害に対して、弱いながらも前向きな結果を示しています。

ただし、研究規模はまだ小さく、確定打とまでは言えません。

それでも、

首の感覚入力

前庭核

小脳

脳幹

自律神経

呼吸

姿勢制御

これらをひとつながりで見る視点は、

「異常なしめまい」の正体を読み解くうえで、かなり本質に近いと私は考えています。

少なくとも。

「何も悪くないんですね」

ではなく、

“映らないけれど、乱れている機能はあるかもしれない”

この視点は、持っておいて損はありません。

参考文献(英語)

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    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29037641/
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    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36362521/
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    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5366978/
  7. Balaban CD, Porter JD. Neuroanatomic substrates for vestibulo-autonomic interactions. J Vestib Res. 1998.  
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9416584/
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