
病院で「異常なし」と言われためまい。
でも本人は、ぜんぜん異常なしな気がしない。
そりゃそうです。
こういうめまいは、どこかが壊れているというより、首・呼吸・姿勢・自律神経の連携がズレている可能性があります。
特に首こりや呼吸の浅さが重なると、ふわふわした自律神経性めまいとして出てくることがある、というのが臨床上の実感です。
めまいの分類(定義)
めまい、と一言で言いますけど。
これ、ひとくくりにすると話がややこしくなります。
■ 回転性めまい
ぐるぐる回るやつです。
「あ、これは回ってるな」と本人もわかりやすいタイプ。
内耳、つまり前庭器の物理的な問題が関係していることが多いです。
■ 浮動性めまい
ふわふわする。
ゆらゆらする。
地に足がついてない感じ。
これがまた厄介です。
浮動性めまい 原因としては、姿勢制御とか感覚統合のズレが関係することが多いです。
■ 不安型めまい
これもあります。
なんとなくフワッとする、気持ち悪い、落ち着かない。
不安とか緊張とか、人混みとか、そういうもので悪化しやすいやつです。
で、自律神経性めまいって何やねん、となるわけですが。
これは、
浮動性めまいと不安型めまいが、わりと仲良く手をつないで出てきてる状態
そう考えるとわかりやすいです。
自律神経性めまいとは何か
ここ、かなり大事です。
自律神経性めまいって、「何も異常がないですよ」ではないんです。
むしろ、ちゃんとしんどい。
でも、壊れているわけではない。
ただ、連携がうまくいっていない。
そういう話です。
■ 前庭系と自律神経の関係
体の中では、ざっくりこんな流れがあります。
頸部固有受容器 → 前庭核 → 小脳 → 自律神経出力 → めまい
首の情報って、ただ首だけの話じゃないんです。
バランスの情報として脳に上がって、最終的には自律神経の出力にも影響します。
だから、めまい 首こり って、わりとセットで出てきます。
■ なぜ「異常なし」と言われるのか
MRI、異常なし。
耳も、異常なし。
脳も、大きな問題なし。
なのにしんどい。
この時、患者さんはだいたいこうなります。
「いやいやいや、そんなわけないやん」
その気持ち、よくわかります。
でも、実際に起きているのは故障ではなく、連携ミスだったりします。
検査で見つかりやすいのは、壊れているもの、異常がある箇所です。
でも、めまい 自律神経 の問題って、動き方とか、統合のされ方とか、タイミングのズレだったりする。
だから画像では拾いにくいんです。
■ 浮動感の正体
ふわふわする。
足が地面についていない感じ。
雲の上歩いてるみたい。
でも別に、うれしい話ではない。
この浮動性めまい 原因として考えやすいのが、
- 頸部入力のズレ
- めまい 呼吸 浅い状態
- 自律神経の過緊張
- 不安とのリンク
このあたりです。
特に呼吸が浅くなると、胸も首も固まりやすい。
首が固まると、頸部からの情報が雑になる。
情報が雑になると、前庭核も小脳も困る。
困った結果、ふわふわする。
まあ、体からしたら
「ちょっと待って、情報がバラバラなんですけど」
という感じです。
つまりどういうことか?
どこかが壊れて異常があるというより、
情報の交通整理がうまくいかず、脳が軽くパニックを起こしている状態。
そんなイメージです。
エビデンス:論文紹介
ここは、正直にいきます。
自律神経性めまい単独のRCT。
ほぼありません。
ないものはない。
そこは、ないです。
なので、近い研究を見ていきます。
頸性めまい、前庭障害、徒手療法とバランス機能。
このへんから読むしかない、というのが現状です。
■ 論文①
Sedeño-Vidal et al., 2022
- 研究デザイン:RCT
- 対象人数:80名
- 介入内容:前庭リハビリテーション単独 vs 前庭リハ+徒手療法
- 結果:DHI、めまい強度、頻度、バランス関連指標で改善
- 結論:徒手療法を加えることで、回復が促進される可能性が示唆された
この研究が面白いのは、
「手でやること、意味あるやん」
という点です。
もちろん何でもかんでも触ればいい、という話ではないです。
でも、前庭系のリハに手技が上乗せされることで結果が良くなる可能性は出ています。
■ 論文②
Micarelli et al., 2021
- 研究デザイン:単盲検RCT
- 対象人数:80名
- 介入内容:SNAGsを中心とした頸椎徒手療法
- 結果:DHI、頸部痛、頸椎可動性、姿勢制御の改善
- 結論:頸椎への徒手介入が、頸性めまいの短期改善に有効な可能性
これも、めまいと首の関係を考える上では大事です。
「めまい 首こり って本当に関係あるの?」
あります、というより
関係している可能性を無視しにくい
そんな感じです。
■ 論文③
De Vestel et al., 2022
- 研究デザイン:系統的レビュー・メタ解析
- 対象人数:約900例
- 介入内容:徒手療法、運動療法、併用療法
- 結果:頸性めまい、頸部症状、バランス症状の改善
- 結論:徒手療法は有望。ただしエビデンスの強さはまだ限定的
レビューで見ても、方向性としては悪くない。
ただし、手放しで「効きます!」と言うにはまだ早い。
このへんは真面目にいきたいところです。
ポイントまとめ
- 徒手療法は、バランス系や頸性めまいには有効性が示唆されている
- ただし、自律神経そのものは直接評価されていない
- HRV 自律神経 のような指標まで見た研究は乏しい
論文の限界
ここを飛ばすと、急に怪しくなります。
なのでちゃんと書きます。
- HRVを見ていない(自律神経がバランス良くなったかどうか)
- サンプル数がまだ少ない
- 長期的にどうなのかは不明
- そもそも自律神経性めまいを直接扱っていない
要するに、
「首やバランスには手技が効きそう」
は言えても、
「自律神経性めまいにこれで決まり!」
とは言えないんです。
👉 つまりどういうことか?
論文だけで全部説明しようとすると、足りません。
なので最後は、臨床で何が起きているかを丁寧にみる必要がある。
ここに戻ってきます。
KUの臨床的考察
さて、ここからがオステオパシーの話です。
この手のめまいを見ていて思うのは、
一か所だけ悪い、というより
全体の連動がうまくいっていない人が多い
ということです。
■ 3層モデルで見る
【構造】
- C0-C2
- 後頭下筋群
- 側頭骨の可動性
ここは、かなり重要です。
上位頸椎と後頭下筋群は、姿勢とバランスのセンサーのかたまりみたいな場所です。
ここが固い。
あるいは情報が荒れている。
すると、前庭系への入力が雑になります。
【中枢統合】
- 前庭核
- 小脳
- 脳幹
入力された情報をまとめる側です。
首からくる情報、目からくる情報、足元からくる情報。
これをうまく混ぜて、いま体がどうなっているかを判断します。
でも入力がズレると、ここも混乱する。
【自律神経出力】
- 迷走神経
- 交感神経バランス
脳幹が落ち着かないと、自律神経の出力も不安定になります。
だから、めまい 不安 がくっついてくる。
動悸っぽさ(ドキドキする感じ)、息苦しさ、ソワソワ感。
こういうのも説明しやすいです。
【呼吸】
ここも大事です。
呼吸浅い → 横隔膜制限 → HRV低下 → 自律神経不安定 → めまい
呼吸が浅い人って、胸だけで息してることが多いです。
そうすると首が頑張る。
首が頑張ると、また頸部入力が荒れる。
いやもう、忙しいな首、という感じです。
【全身連動】
さらに、仙骨や仙腸関節の問題も無視できません。
仙骨機能低下
→ 硬膜張力変化
→ 頭蓋環境変化
→ 中枢統合低下
硬膜は頭蓋から仙骨までつながっています。
なので、下で起きていることが上に全く関係ない、とは考えにくい。
頭蓋−仙骨の連動という見方は、こういう時に生きてきます。
つまりどういうことか?
めまいは
- 首だけの問題でもない
- 耳だけの問題でもない
- 自律神経だけの問題でもない
全身で起きているズレの、結果としてのめまい
そう見ると、かなり整理しやすくなります。
該当する人チェックリスト
こんな人は、このタイプを疑いやすいです。
- 病院で「異常なし」と言われためまいがある
- ぐるぐるより、ふわふわする
- 首こりが強い
- 呼吸が浅い
- ストレスや不安で悪化する
- 人混みやスーパー、美容院などでしんどくなりやすい
- 天気や疲れでぶれやすい
ひとつやふたつならともかく、
いくつか重なるなら、
「耳だけでは説明しきれないめまい」
かもしれません。
めまいは自律神経のせい?異常なしの原因とはのまとめ
自律神経性めまいは、どこか一か所の故障というより、
前庭・首・呼吸・姿勢・自律神経の統合のズレとして起きている可能性があります。
なので、
首をみる。
呼吸をみる。
頭だけでなく仙骨までみる。
そうやって全体を整えていくことが、改善のヒントになる可能性があります。
「異常なし」と言われたけど、しんどい。
その違和感は、気のせいではないです。
そう考えていいケースは、少なくないと思います。
参考文献
- Sedeño-Vidal D, et al. 2022.
- Micarelli A, et al. 2021.
- De Vestel C, et al. 2022.


